トレカも記念メダルも、価値は「文脈」でつく

記念メダルもトレカも通貨も暗号資産もアートも聖遺物も、物そのものより「みんなが信じる物語」で価値がついている。時間が文脈を強くする仕組みと、カード選びへのヒント。
この記事の要点
- トレカの価値の大半は、紙ではなく物語(文脈)についている
- 文脈は、長い時間をかけて多くの人に共有されるほど強くなる
- カードなら「今も続いているIP」の「昔の流通量が少ないカード」に文脈が残りやすい
どれも「文脈」でできている
記念メダル、トレカ、通貨、暗号資産、アート、そして宗教の聖遺物。並べてみると、どれも物としての価値はわずかで、「これには価値がある」とみんなが信じていることで値段がついています。
これは悪いことではありません。人は物語に価値を感じる生き物で、文脈を楽しむのは文化そのものです。ただ、文脈は信じる人がいなくなれば消えてしまう、ということは押さえておきたいところです。
時間が文脈を強くする
聖遺物を例に考えてみます。ある聖遺物が「本物かどうか」を科学的に確かめるのは難しいことが多いものです。それでも、何百年ものあいだ多くの人に大切にされてきたという事実そのものが、その品の重みを支えています。
つまり大事なのは、最近手に入れたものかどうかではなく、長い時間をかけて物語が共有されてきたかどうかです。どれだけ立派な物語でも、昨日作ったばかりのものには、まだその重みはありません。逆に、信じる人がいなくなった物語の残骸を買っても、価値は戻ってきません。
カードに当てはめると
この見方をトレカに当てはめると、文脈が残りやすいカードの条件が見えてきます。
- IPが今も続いている:作品やシリーズが続く限り、ファンが新しく生まれ、古いカードにも物語が上書きされる
- 昔のカードで、流通量が少ない:2000年代の、一部のファンだけが集めていたようなレアカード
- 大量に刷られていない:初期の遊戯王やマジック:ザ・ギャザリングのように流通量が非常に多いものは、古くても安いままのことが多い
ヴァイスシュヴァルツは、長く続くタイトルが多く、カードを出し続けているブランドです。昔のサイン入りカードが300円で放置されている状況は、文脈の観点から見るとちょっとした「バグ」かもしれません(サイン入り300円カード)。
文脈は作ることもできる
メーカーはカードに物語をのせて売っています。逆に言えば、自分でカードを作り、遊ぶ人を増やし、時間をかけて物語を育てれば、それも文脈になります(「買う側」より「作る側」へ)。
AIへの熱狂も、ある意味では「みんなが信じている物語」で値段がついている面があります。どの物語がいつまで続くのか——それを自分の頭で考えることが、トレカに限らず、お金を使うときの基本だと思います。